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フェルメールトリビュート展

フェルメールトリビュート展

2018年10月19日(金)〜11月4日(日)

MDPギャラリー(中目黒)

 

真珠の耳飾りの少女

デジタル

ジグレー印刷

用紙:ウィリアムターナー

2018

 

上野の森美術館のフェルメール展にあわせた企画展。

作風や素材の異なる参加アーティスト全員が真珠の耳飾りの少女をモチーフに作品制作するという異種格闘技のような楽しい展示でした。

人形、日本画、油絵、水彩、イラストレーション、羊毛作品やジュエリー作品まで、あらためて表現活動の幅の広さを体感することができました。

 

私は「真珠の耳飾りの少女」を現代風の女性にアレンジして描写しました。制作過程において約1カ月ほど、描いたり消したり描いたり消したりしながら、フェルメールに向き合ってきました。

陰影の関係がぴったり合うことでリアリティーを出すことができる・・分かってはいるけれど、それを実現するにはもっと的確なデッサン力が必要・・という課題を自分に突きつけられました。

また、普段は肌色にこんなに深く影はつけませんが、立体感の表現のためには、ここまでやっていいんだ、という発見もありました。

学ぶことの多かった1枚です。

 

油絵に見えるデジタル作品ですが、出口である出力にはこだわりました。デザイン業をやっているので印刷方式への探究心もあります。デジタルの色空間のRGBをいかに劣化させずに現実空間に再現するのか、デジタル作家の悩ましいところです。(一般的にRGBのほうが色の幅が広い。印刷すると色幅が減る。色が転ぶ。)

 

今回は株式会社アムゼさんにて複製絵画などで用いられる技法のジグレー印刷(RGBの再現性はすごい!)にてプリントしました。この1枚にたどりつくまでに用紙の選定から色校正まで10回ほど校正をくりかえしています。

選んだ用紙はウィリアムターナー。黒の再現性がよく、高級水彩紙ならでは紙の凹凸感が肌の質感とマッチして、作品としての存在感を高めることができました。

 

デザイン業で印刷物に多く触れているので、通常の印刷で再現できない色は分かっています。その目でみて、今回ジグレー印刷の発色と彩度の美しさ、データ通りの色の再現性、もしくはそれを超える表現力を見て、安心してデジタルで作品として世に出せるかなと思った次第です。

 

 

関係各位のみなさま、ありがとうございました!